お客さまの視点を忘れなければ商品は育つ。

先日、会社勤めをしていたころに、コピーライティングのお仕事をいただいていた菓子製造会社の社長と、ひょんなところでお会いしました。

パンフレットやウェブサイト、新聞広告の仕事をさせていただいていましたが…

携わらなくなってから、すでに15年近く。

でも覚えていてくださってうれしかった!

ありがたいかぎりです。


近況報告などさせていただき、その場をあとにしましたが、急に、かつて社長がぽつっとつぶやかれていたことを思い出しました。


「製品と商品は違う。

製品はすぐできるけど、商品がうまれるのは難しい」


わたしはそのとき、この言葉の意味が分かりませんでした。

どう違うの?

社長とお会いするときは、いつも緊張しまくりでうまくしゃべれませんでしたし、そのときもそれ以上聞こうとは思わなかったのです。


この意味を考えること、理解すること。

それがなぜか社長からの宿題のように思えて、ずっと、ひっそり胸の奥にしまいこんだままでした。


でも、今はなんとなく察することができます。

「商品」というのは、お客さまの間で育っていくもの。

ほめ言葉や厳しいご意見をいただいたりしながら、改良、アップデートしていくもの。

たくさんの方の愛を吸い上げながら、またたくさんの方に愛されていくもの。


はじめはどれも「製品」なんです。

商品に育っていくには、時間と手間と愛情が必要。

なかには思うように育っていかないこともある。


そして「製品どまり」になってしまうものは、おそらく自分目線の域を出ないもの。

逆に、お客さまの視点を忘れない製品は商品として育つ、ということ。


これ、わたしのような無形商品を扱う人も、忘れてはならない視点かなと思います。


「わたし、こんなことができるんです」

「こんなメニューやってます」

できたてホヤホヤ状態のままお品書きを並べるだけで、お申し込み入らないなーと思いつつ、セッション日程を何度も告知するだけでは、「製品どまり」になってしまう可能性があります。


商品に育てるためには、お客さまの迷いや思いを汲んで。

告知も、もう一歩踏み出してエスコート。

「あなたのお困りやお望みに、こんなメニューでお役に立てます。

一度試してみてください。そして、よかったらお声を聞かせてもらえませんか?」

愛情をもってお伝えして、フィードバックしていただき、ブラッシュアップする。

その繰り返しなんですよね。


長く愛される商品には、やはりお客さまの視点が欠かせないのです。

いつも心に留めておきたいものですね。

自戒をこめて。